ようやく読んだ「レジリエンス」本。読後の感想を一言、「体系的にまとまっています」。
世界のエリートがIQ・学歴よりも重視! 「レジリエンス」の鍛え方
- 作者: 久世浩司
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2014/02/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (6件) を見る
ちなみに、「レジリエンス」ってのは、次のような意味らしい。
レジリエンス(resilience)は「精神的回復力」「抵抗力」「復元力」「耐久力」などとも訳される心理学用語である。心理学、精神医学の分野では訳語を用いず、そのままレジリエンス、またはレジリアンスと表記して用いることが多い。「脆弱性 (vulnerability) 」の反対の概念であり、自発的治癒力の意味である。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B9_(%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6)
この本では、レジリエンスを鍛える、7つの技術について紹介している。これらの技術は、(後述するが)どこかで見聞きしたことがあるようなモノが多く、これといって目新しいものはなかった。逆に言うと、実証済みの、使える技術が多く紹介されている印象を受けた。根拠のない鼓舞、気休めなど、「てきとーな記述」は、見当たらなかった。これは、著者の経験からくるものだと思われる。
この本は、まず冒頭で、これら7つの技術の位置づけを明確にしている。これは、わかりやすい。この部分があるので、「7つの技術の羅列」という印象ではなく、「体系的にまとまっている」という印象に落ち着いたのだと思う。
冒頭で印象深かったのが、次の一言。
失敗が重なると、無意識のうちに無力感を「学習」してしまいます。
《「レジリエンス」の鍛え方, 2014/08/01, 実業之日本社》より
いやはや、その通りでございます。人間って、本当に脆弱。
もう「学習」したくないなぁ、お腹いっぱい。もっとも、全く「学習」しないってのも、どうかと思うが。。
以下に、各技術について、簡単にコメントを残しておく。
第1の技術:ネガティブ感情の悪循環から脱出する!
いきなりドドーンと核心をえぐる。
問題は、ネガティブな感情が生まれることではありません。「感情が反芻する」つまり過剰に繰り返されて私たちがその悪循環から抜け出さなくなってしまうことにあります。
《「レジリエンス」の鍛え方, 2014/08/01, 実業之日本社》より
この辺りは、他書でも、同様の論調が多いように思う。間違っても、「ネガティブな感情を、ムリヤリ、根性で、ポジティブな感情にしろ」という話ではない。
この文中にある“悪循環”という言葉。わかりたくないけど、よくわかる。。よくわかる人は、私と同じ穴のムジナかも(ふふ)。自力では抜け出せなくなるところまで、簡単にもっていかれるので、常に警戒しておきたいと思った。
これに対して、4種類の「気晴らし」が紹介されている。「気晴らし」という表現は、ウソがなくていいなぁ。個人的には、3つめの「呼吸系」をよく使っている。簡単だし、効果もそこそこ実感できる。
サブタイトルに、『「今・ここ」に心を落ち着かせる呼吸法』と紹介してあったので、こっ、これは、、まっ、まさか「センタリング」!!?
と思いきや、『マインドフルネス呼吸法』と書いてあった。に、似ている。
第2の技術:役に立たない「思い込み」をてなずける
一瞬、「なげすてる」に見えたが、『てなずける』だった。珍しいフレーズだなぁと思っていたら、私たちの「思いこみ」を犬に例えていたからだった。面白い。
刺激と反応との間にはスペースがあり、そのスペースをどう生かすかが、私たちの成長と幸福の鍵を握っている
《「レジリエンス」の鍛え方, 2014/08/01, 実業之日本社》より
この間にあるのが『思いこみ』。こいつが鍵を握っている。ま、そうだろうね。
ん!?
こっ、これは、、まっ、まさか、認知行動療法で言うところの、「自動思考」なのでは!!?
ちなみに、認知行動療法については「マイナス思考と上手につきあう 認知療法トレーニング・ブック──心の柔軟体操でつらい気持ちと折り合う力をつける」がおすすめ。少ないページ数で、すっきりまとまっている。自動思考が「ユガミン」というキャラクターになっているのも、わかりやすくてよい。
なんて思っていたら、出てきた。7種類の「思いこみ犬」。やっぱ「自動思考」ぢゃん。こっちは犬に例えたか。そこで、「思いこみ犬」と「ユガミン」を勝手に対応づけてみた。
思いこみ犬 | 簡単な説明 | ネガティブ感情 | ユガミン |
---|---|---|---|
正義犬 | べき思考。「〜すべき」、「〜でなければならない」と考える | 嫌悪・憤慨・嫉妬 | ベッキー |
批判犬 | 白黒思考。物事を「白か黒か」で割り切り、完璧を求めさせる | 怒り・不満 | シロクロン |
負け犬 | 「自分は役に立たないダメな人間だ」「こんなこともできない自分が情けない」 | 悲哀・憂鬱感 | マグミニ? |
謝り犬 | 自分のせいで起こったのだと、自分を責めてしまう | 罪悪感・羞恥心 | ジーブン |
心配犬 | 将来のことを憂い、今後もうまくいかないのではと心配する。何かうまくいかないことがあると、すべて失敗してしまうと不安になる | 不安・怖れ | バンカー? |
あきらめ犬 | 何をしてもよい方向に変えられると思わないなど、しばしば根拠のない決めつけをする | 不安・憂鬱感・無力感 | ― |
無関心犬 | 面倒なことを避けようとする | 疲労感 | ― |
― | 物事の悪い面ばかりが目につく | 悲哀・憂鬱感 | フィルタン |
― | 確かな理由もないのに、悲観的な思いつきを信じてしまう | 不安・憂鬱感 | ジャンパー |
なんと。思ったより、うまく対応しない。
カウンセリングやワークなどを重ねることで、ようやく自分の「思考のクセ」が見えてきた。思いこみ犬をきちんと捕まえ、感情をコントロールできるようになれるといいなぁ。
後天的に刷り込まれた思いこみは、意図的に捨てる「学習棄却(アンラーニング)」することが可能
《「レジリエンス」の鍛え方, 2014/08/01, 実業之日本社》より
!?
こういうのって、希望だよねぇ。アンラーニング。そのための、「追放」、「受容」、「訓練」という技が紹介されている。が、もちろん、「銀の弾などない」。期待し過ぎず、冷静に読むところ。
思いこみ犬はただの犬、未来のあなたではない
(途中略)自分の内面に住みついていた「思いこみ犬」に気づくことは、大きな進歩である(途中略)あなたは思いこみ犬ではありません。あなたは思いこみではなく、思いこみ犬を観察している別の存在なのです。
《「レジリエンス」の鍛え方, 2014/08/01, 実業之日本社》より
おぉ、うまい。これは励まされる。それで、『てなずける』ってタイトルになったのね。
第3の技術:「やればできる!」という自信を科学的に身につける
「自己効力感」なるものを、「4つの方法」で身につけるという内容。これについても、むろん、「銀の弾などない」。
第4の技術:自分の「強み」を活かす
自分の「強み」を活かすために、「強み」を見つける方法にも言及している。3つのツールが紹介されているが、その1つが、まさかの「ストレングス・ファインダー」。ちなみに、自分がやってみたのは、次の2つ。結果は、「(書き忘れ)5つの強みが見出せた? - あしのあしあと」に記載した通り。
- 「VIA-IS」 → 人生を幸せに生きていく上で必要な強み
- 「ストレングス・ファインダー」 → 仕事においての強み
確かに、せっかく、こういうツールがあるのだから、使わない手はないと思う。
話は変わって、人事評価制度に関する記述で、興味深いモノがあったので、挙げておこう。
それまでは本人の過去一年間の活動をもとに、その人の持つ「強み」と「改善点」を二つずつ文章にして明確にしていたのですが、新しい方法では「改善点」の欄が消えてなくなっていたのです。その代わりに「強み」が三つに増えていました。
《「レジリエンス」の鍛え方, 2014/08/01, 実業之日本社》より
これは、すごい。世界トップクラスの会社ってのは違うなぁと、つくづく思った。強みのみを明確にする、しかも3つも。
弱みを指摘することは、強みを指摘することに比べ、圧倒的に簡単だと実感している。弱みって、目につくし。なので、弱みの克服の方が、やりやすいし、達成感も味わいやすい。そこを克服して、平均にもっていくことはできなくもない。でも、それではビジネスでは勝てないよなぁ。
そういえば、自分のこれまでの、後輩の育成方針、問題がたくさんあったなぁ。もっと、強みに目を向けるべきだったなぁ。一生懸命やってたのはやってたけど、結果が伴ってないからねぇ。
自分の強みに関心のない人は、人の強みにも注目しません。自分の弱点が気になるばかりでなく、部下の短所も目についてしまうのです。
《「レジリエンス」の鍛え方, 2014/08/01, 実業之日本社》より
う゛。。
だからだ。ひっしで自分のダメなところを隠し、他人のあらさがしばっかり。基本的な姿勢が、すでになっていない。
第5の技術:こころの支えとなる「サポーター」をつくる
これは、とてもハードルが高い。が、すでに色々な人によりかかって日々を過ごしている。
「誰かに頼ることで、自分で自分の問題も解決できないと思われたくない」という劣等感が、自分をひとりよがりにさせていたのです。
《「レジリエンス」の鍛え方, 2014/08/01, 実業之日本社》より
自分にとって大切な5人を選び、「いざというときのサポーター」としてリストアップしておくことがすすめられている。5人か、、知り合いが少ない自分であっても、5人に絞るのはきつい。10人なら平気なのだが。。
第6の技術:「感謝」のポジティブ感情を高める
特になし。