JaSST'12 Tokyoに参加してきた

色々とあってアップが遅れたが、雅叙園で行われたJaSST'12 Tokyoソフトウェアテストシンポジウム 2012 東京)に参加してきた。JaSST(ジャスト)には毎年参加したいと思っていたのだが、なかなか時間があわず、ようやく初参加。参加費があまり高くないので、自腹可能なところがうれしい。

参加してよかったのは、「テストって、まとまった勉強をしたことがないなぁ」「テストの勉強もしなくてはなぁ」と思えた点。ただ、期待以上だったかというと、そうでもない。ようやくの参加で期待が大きかったことと、選ぶセッションを失敗したかなってもあるが、もっと具体的な話(もっと言うと、生々しい話や、明日から使える話)が聞けると思っていた。
私がきいたセッションと、内容や感想について簡単にメモ。ちなみに朝、山手線が止まり、タクシーも長蛇の列で、大遅刻。

  • 初心者向けミニチュートリアルテスト初心者向けセッション」⇒ 初心に帰って、と思ったが、本当に開発・テストの初心者向け。V字モデル、テストの目的、テストプロセス、テストレベルとテストタイプ、テスト設計と設計技法、テストツールのお話。JSQTBのシラバス(FL)に全部ある。同値分割と境界値分析の演習。障害報告書作成の演習。もう少し深堀りしてもよかったのではないかと。
  • テクノロジーセッションNEUSOFT流のオフショア」⇒ 中国を軸足に、日本でブリッジSEをされている方の講演。NEUSOFT社の取り組みと、オフショア実施時のコツを。私が受け取ったコツは4つ。(1) 大きな体制を組みたい時は、小さい体制から組んでいくべし。いきなり200人体制にせず、まずは50人体制からなど。(2) 全アウトプットをレビューするのではなく、より上流に軸足をおくべし。下流工程の成果物は、中国でのレビュー結果をレビューする。(3) 指摘・指示ではなく、ほめる・アドバイスにすべし。やはり日本の顧客は指摘が細かいと。あまり追い詰めると客の指摘を恐れるようになり、エネルギーを使う方向を誤ると。確かに。(4) 冗長な敬語、独特の言い回し、なかなか途切れない文など、利用を避けるべし。そりゃそうだ。
  • テストツールの活用テストツール活用の処方」⇒ テストツールの活用方針、活用時の注意点などをまとめた“小冊子”が、ASTERのサイトに、4月を目標に公開されるらしい。ツール大好きっ子ではないが、期待大。小冊子に書こうとしている内容を聞きたかった。
  • チュートリアル2脱・初心者 テスト技法 チュートリアル」⇒ こっちは、開発・テストしたことありませんみたいな人だとつらいセッション。有料なので、詳細は割愛。(原因結果グラフから)デシジョンテーブルを作成する演習と、色々な分析結果からシナリオテストケースを作成する演習。時間の割に、内容が少ないように感じた。もっと詰め込んでもよかったのではないかと。秋山氏のラルフチャートの話がすごく洗練されていて、わかりやすかった。「ソフトウェアテスト技法ドリル―テスト設計の考え方と実際」をちゃんと読まねば。
  • 招待講演ソフトウェアテストの30年前と30年後」⇒ 漸進的な革新といったところか。まぁ30年後なんてわからないからね。リスクベースのテストが体系化されるのは、そうかなぁと。
  • クロージングパネルソフトウェアテストの近未来を大いに語り合おうぞ」⇒ 西先生の話が、わかりやすく面白かった。話が切れるというか、論理的で明快で、とてもよい感じ。最後は“人間がどのようなミスをするのか”に行きつくってのは、そうだなぁと。パネル中に語られていた“開発とテストの融合”ってのは、どんな風に進むのだろう。自分が“Wモデル”とか“アジャイル”とか未経験だからイメージしにくいのかも。パネラーのイメージも三者三様だったのか、ある程度共通したイメージがあったのか。
2012/02/01追記

PublicKeyで、がっつり取り上げられている。詳しく、そして読みやすい。


あらためて、マイクロソフトってすごいなぁと。現場はドロドロしているのかもしれないけど、それでもきちんとしている。自分の経験だと、テストって必ず体制の組成が遅くなって(キーマンが開発しているから)、テスト設計やテスト実装も“気がついた人”や“できる人”がアドホックに実施することが多い。下手すると、PMやリーダクラスがテスト設計やテスト実装の必要性をわかっていないことすらある。いや、それは下手しすぎか。


秋山氏の書籍「テスト技法ドリル」に出会えたことと、HAYST法のサイトを知ることができたのが、今回一番の収穫かな。

ソフトウェアテスト技法ドリル―テスト設計の考え方と実際

ソフトウェアテスト技法ドリル―テスト設計の考え方と実際

2012/02/02追記

もうないと思ったのだが、きっちりパネルディスカッションまで取り上げられている。PublicKeyすごいな。。

こうやって記事になると、だいぶ印象が違うなぁ。間とか、スピード感とか、落ち着いていたり驚いたりあせったりといった感情とか、そういう雰囲気って大事なんだなぁと。