第16回「ビジネス会計検定®1級」を受験してきた

最初から言い訳だが、体調が微妙だったので、勉強時間をかなり制限していた。さらに、先日の面談で、カウンセラーに、勉強時間にキャップをかけられてしまった。なので、直前期も、あまり勉強せず。そんな状態で、(それでも合格を狙って)試験を受けに行った。
しかしこの、「試験前」とか「試験直前」っていうのは、なんともイヤ〜な気持ちになる。こればっかりは、何度試験を受けても、慣れない。


で、試験の話。問題を解く順番などは、最初から決めていた。ま、みんなそうか。
最初の90分で論述(問題Ⅲ、Ⅳ)をこなし、残りの60分でマークシート(問題Ⅰ、Ⅱ)をこなそうと思っていた。理由は、論述には「足きり」がある(50%を切ると不合格)から。「論述問題は、完全にはわからなくても、わかった範囲で何か書こう」と考えており、そのために、長文を書く時間を100%確保しておくことが必要だと思っていた(最悪、シワ寄せは、問題Ⅰに)。で、実際この通りにタイムマネジメントできた。悩んでいる時間的余裕はないので、次から次へと、せわしなくこなしていった。結果、時間が10分程度も余った。ちゃっちゃかやりすぎたかも。ただ、あまりにも疲れてしまったので、見直しとかできなかった。


さて、以下で、受験したときの感覚や、振り返りなどをメモしておく。具体的には、各設問の「出来」を、次の3段階で評価し、各設問について感想などを、つれづれなるままに書いていこうかと。

  • ○:たぶんできている。希望も込めて
  • △:できているとは思うのだが、、間違っていても仕方がない
  • ×:できていない。まずできていない。完全に間違った


問題Ⅰ(理論:マークシート)→ 最も苦手な問題。論述が大変かと思いきや、ココが鬼門

出題分野出来コメント
1ディスクロージャー苦手分野の筆頭。2級レベルの知識しか持っていないので、過去問ではボロボロだった。でも、今回は易しい。会社法の大会社の定義と、有価証券報告書と計算書類の位置づけ。絶対に落とせない。落としていないことを祈る
2リース会計(応用論点)×決して苦手ではないものの、難しい。いいところまでいったのだが、完璧には思い出せなかった。肢が「リース資産の重要性が乏しい場合」、「セール・アンド・リースバック」、「転リース」。税理士簿記論や日商簿記検定1級(商会)を凌駕する試験範囲。ここまで出しれくるんだよなぁ
3ヘッジ会計(繰延ヘッジ、金利スワップ易しい。ヘッジ会計の目的と、繰延ヘッジの処理方法がわかれば正解できる。ヘッジ会計も苦手分野の一つだが、これならいけたかも。公式テキストP.83あたり
4生産性の分析(付加価値の計算)これ、ひっかけだよね?連結損益計算書の本体からは、人件費を引き出せないよって論点だよね?あっていてほしい。公式テキストP.297あたり
5税効果会計(応用論点)×全くわからなかった。手も足も出ず。対策講座で税効果を詳しく取り扱ったのは、マークシートで2題、論述で1題の、計3題も出題される予定だったからなのか。完全に勉強不足
6加重平均資本コスト(WACC)×診断士のとき、さんざんやったのに、間違えてしまった。WACCを算定するときに使うのは、有利子負債だけに決まってるじゃない。問題Ⅱで、そうやって計算しているのに。。これはくやしい。公式テキストP.365あたり
7会計方針の変更易しい。たぶんいけてる。ひっかけがあったらダメだが、なければサービス問題。ちなみに、試験関係ないんだけど、簿記にあまり面白味を見いだせない傾向にある自分でさえも、遡及適用の仕訳には感動した
8日本の会計基準まぁまぁ難しい。が、偶然あってそう。公式テキスト第4章(概フレなど)は捨てていたので、正解できたのは(色々思考はしてみたものの)ほぼ運
9EV/EBITDA倍率易しい。公式と、公式の意味を覚えておけば、確実にとれる。そして論述対策で、みな公式を覚えているものと思われる。あ、でも今回は、企業価値分析が論述で出題されないっぽい年か(隔年で出題されているから)
問題Ⅱ(計算:マークシート)→ 理論に比べれば、ぜんぜんいける
出題分野出来コメント
1金融資産(決算)有価証券はさくっと仕訳がきれる(総合問題には必ず出てくるから、飽きるほど仕訳を書いた)。「デリバティブ取引によって生じる正味の債権は、時価評価の対象」という論点は、公式テキストの例題にもあったし、過去問でも出題されている。が、いかんせん練習量が少ないので、デリバティブの取り扱いは、自信をもってとはいかなかった
2税効果会計対策講座でもらった問題集に類題があった。普通に仕訳きればよい。その他有価証券評価差額金を計上したときには、法人税等調整額は計上されないところが、ひっかけっぽいところか。ひっかけってほどでもないか
3棚卸資産(期末評価)対策講座でもらった問題集に類題があった。トレーディング目的のモノの取り扱いと、正味売却価額が著しく下落しているが「臨時の事象に起因しない」モノの取り扱いがポイント
4生産性の分析易しい。労働生産性、設備生産性、労働装備率の公式を暗記しておけばできる。いずれもイメージしやすく、覚えやすい指標。計算ミスさえなければ、絶対にあっている
5企業結合(吸収合併)易しい。普通の吸収合併。共通支配下でもなし、逆取得でもなし、抱き合わせ株式もなし。これは落とせない。対策講座でもらった問題集は、けっこう難しかったのだが
6営業レバレッジ定義通り、素直に計算すればよいはず。損益分岐点比率(または安全余裕率)との関係までおさえられていれば、ばっちり。診断士のとき、さんざんやったので、いけてると思うのだが、、
7負債コスト難しくはないが、計算があやしい。最初は、有利子負債コストが問われていると勘違いしていたが、肢になかったのでセーフ。しかし、負債コストそのものの計算が出題されるとは、予想外だった
8EVA(経済的付加価値)これは計算がけっこう面倒。まず、EVAを求める公式を忘れていたら、最初からアウト。これを覚えている前提で、株主資本コストをCAPMで求めてから、WACCを求める。当然NOPATもおさえておかないとダメ。ちなみに、EVAあたりは、診断士では出てこないので、今回初めて学習した。確かに、当期純利益では、負債コストしか控除していない。株主資本まで考慮したEVAって考え方は、必然的に出てくるよなぁ、と思いながらテキストを読んだなぁ
9乗数アプローチ易しい。PER、PSR、PCFRの公式と意味を知っていれば、確実にとれる。診断士でも、ファイナンシャルプランナーでも、どこへでも出てくる有名な指標。まさか計算ミスってないだろうなぁ。こういうのが危ない
問題Ⅲ(総合問題:計算、論述)→ 当たって砕けろ
出題分野出来コメント
1収益性の分析(指標の計算)易しい。売上高営業利益率売上高経常利益率など、オーソドックスな指標ばかり。3級レベルなのでは?ミスさえなければ、全問あっていると思う。診断士のとき、さんざんやったし
2収益性の分析(指標の計算と分析)求める指標は、売上高利益率、回転率など様々。純資産当期純利益率の分析は、これまで計算した指標に分解できそうでなかったので、デュポンシステムを使って分解し、分解された各要素について書いた
3(a)CVP分析(費目別法による計算)易しい。費目別法で、固定費と変動費率を計算し、損益分岐点などを求めるだけ。営業利益まで見られればよいので、費目もそんなに多くない
3(b)CVP分析(営業利益の変化の計算)易しい。売上高が減少したときの営業利益を計算するだけ。固定費も変動費率も既出なので、すぐに計算できる。まさか、ミスしてないよなぁ。でも、試験全体を通じてノーミスってわけにもいかないんだろうなぁ、、
3(c)損益構造や資本構成が業績や安全性に与える影響そこそこ難しい。「売上高が減少した場合、損益構造や資本構成が、業績や安全性に、どのような影響を与えるか」について問われた。損益分岐点は、A社もB社も同じような位置にある。となると、損益構造は、固定費、変動費率の大きさの違い(A社は固定費大、変動費小。B社は逆)を書けばよい?それとも、総資産営業利益率の差が大きいことを書く?たしか、前者を書いた。資本構成は、負債比率を指標として挙げ、財務レバレッジについて書けばよい?少し迷ったが、他に思いつかなかったので、これをそのまま書いた
3(d)損益構造が営業利益に与える影響「売上高が増加した場合、損益構造が、営業利益にどのような影響を与えるか」について問われた。ハイリスクハイリターンなA社と、ローリスクローリターンなB社を比較すればよさそう。このため、A社の方が、B社に比べて、営業利益の上がり方が大きいことを書いた。営業レバレッジまで書く余裕はなかった
問題Ⅳ(総合問題:計算、論述)→ 当たらず砕けた
出題分野出来コメント
1安全性の分析指標の計算に加え、分析まで書かなければならないが、それでも易しい。安全性の指標は、B/Sから求めるオーソドックスなモノのであり、計算は3級レベル。株主資本=純資産(新株予約権や少数株主持分もない)なので、ひっかけの要素もなし。短期の「流動比率当座比率」、長期の「自己資本比率や固定比率」ともに100%を超えており、「安全性は高い」とすぐに結論がでる。シンプルな分析なので、2行くらいずつで書き終わってしまい、2行くらいずつ空白、、
2経常収支比率の計算×やっぱり、少しは面倒な計算を入れてくるのね。できたと思っていたのだが、経常的収入に、金融収入(利息及び配当金の受取額)をたすのを完っ全に忘れている(いつかやるんじゃないかとは恐れていたのだが)。トホホ。。計算だけは、確実に正解しておきたかったのに、、(涙)
3当期以前の業績×「当期以前の業績について、着目すべき項目を3点指摘しろ」とは、、難易度が高いこと。この会社、売上は立っているんだよね。で、パッと見、特徴的なのが、(1) 長期貸付金とその引当金が多額な点、(2) 利益剰余金がマイナス(かつ多額)な点、(3) 売上債権の増加額が大きい点か。他は、すぐには思いつかなそうだったので、熟考せず、これらについて、てきとうに書いた。はっきり言って、3つも書くと、スペースが足りない
4繰延税金資産の評価×繰延税金資産の評価から、将来の業績についてわかること」が問われた。正直、ぜんぜんわからなかった。「税効果会計に関する注記」の資料が、何を意味しているのかさえ、明確にはわからなかった。なので、まったくもって取り付く島なしと。会社が黒字になれば、多額の繰延税金資産を計上ができるから、将来の税金の負担が減る?わからないので、そんな感じのことを書いた
5安全性評価の限界安全性指標による安全性評価の限界について問われた。これもよくわからなかったのだが、対策講座でもらった問題集に、類題があっような、、ほとんどふっとんでいたが。。結局、次の2つを書いた。(1) B/Sだけから計算した指標ではフローの情報が入らない旨、(2) 例として、P/Lベースのインタレスト・カバレッジ・レシオを挙げた。こんな感じで、後はてきとうに書いた


やっぱり、問題Ⅰがまずいよなぁ。論述も最後の方、ぜんぜんダメだったし(一応、解答欄は全部うめたけど)。はっきりいって、落とされても仕方のない出来。。でも、うかっていてほしいなぁ。